プロダクト/マーケット・フィット(英: product/market fit; PMF)は「良いマーケットに位置取り、彼らを満足させられるプロダクトを手にしている状態」である.
PMFの達成は事業成功に必須、なければそれが原因で死ぬ.
before PMFの段階ではPMFだけに集中せよ、after PMFからが本当のバトルの始まりだ.
原典
Marc Andreessen. (2007). The Pmarca Guide to Startups, part 4: The only thing that matters.
これ読めば十分.
「良いマーケットに位置取り、彼らを満足させられるプロダクトを手にしている状態1」
ポイント:
- 良いマーケット: 会社に必要な数・熱量・質の潜在顧客がいる
- 満足させられる: 既に満足しているとは違う. シェア獲得はafter PMFの話
- 満足させられるプロダクト: 「ほぇー、面白そうだね、機会があったら」じゃお話にならない. 同時に「完全無敵!」である必要もまだない
- 位置取り…手にしている状態: 実際に顧客が向こうから流れ込んできている状態
要するに、ユーザーが「これ欲しい!早くくれ!」と熱望しており、かつ潜在ユーザー層が目標値にいっている状態のこと.
カタカナ語で難しくみえる(かもしれない)が、とても素直なことを言っている.
重要性
PMFは事業成功に必須(必要条件).
なぜなら
- 悪いマーケット→買い手がいない. 最高のチームと製品だろうと失敗する2,3
- マーケットを満足させられないプロダクト→🤷♂️
商売において至極当たり前のことである.
実際にスタートアップの死因第一は「市場が存在しないこと」= PMFの欠如4,5.
なぜ当たり前の概念に名前を?
PMF達成はビジネスの本質であるから達成が難しい.
難しい本質からヒトはしばしば逃げる、他のやれることへ現実逃避する.
だからPMFという言葉を与えて、PMFへなりふり構わず向かっていくことを強調する.
市場が存在しないことがスタートアップの死因No.1 => PMF実現こそが焦点
他のなにもかもを後回しにして、PMFを追うべき6.
c.f. 良い後回し
PMFに失敗した例: ネームバリューのある連続起業家、著名VCからの資金調達、魅力的なプレス資料、幾ばくかのβユーザー. そして燃え尽きる資金7.
早期の資金調達がPMFを早める事は滅多にない、プレス資料が綺麗でもPMFは早くならない.
大言壮語は自由だが、それに見合うマーケットを狙う必要が出る = PMFの難易度が上がる.
β版ユーザーは自分たちにフィットするサイズの市場じゃない.
高いバーンレート、そして忍び寄る死.
before PMFの段階でチーム構築に精を出すのもアンチパターン.
構築に工数を取られ、人を増やすのでバーンレートが悪化し、ピボットしたら人材の要件もズレる.
素晴らしい市場8を見出せば、並みのチームが大成功することはザラにある9,10.
たとえ素晴らしいチームが出来ても、マーケットの筋が悪ければ勝ち目はない. 適切なマーケットに位置取りのが最優先11.
before PMFの段階で製品を磨きこむのもアンチパターン.
市場が求めるベースラインレベルの品質があればいい(合格点でいい、最高じゃなくていい)12,13
市場が潜在的に求めていれば、多少の粗があっても人々は飛びつく.
PMFになったら起きること: 作ったそばから売れ、サーバーを追加した分だけ成長し、口座が振り込みでパンパン. セールスとCSをASAPで雇わなきゃ. 取材申し込みが殺到. etc...14
PMFの前後では環境もすべきことも何もかもが違う15.
PMF状態になってはじめて、商品市場16での戦いに参戦できる.
求められているのが前提で、いかに認知を伸ばし、質を向上し、安くし、愛してもらい、シェアを取って、きちんと儲けを出すかの戦い(Growth == 1→∞).
おまけ
PMF計測への個人的見解
「測りすぎ」に類するモノだと思う.
前提として、PMFは判別が簡単だが達成が難しいもの、である (起こればわかる).
がっちりフィットした場合は開発もサポートも回らないくらいユーザーがつくので、測らずともわかる (測らないとわからないならそれはPMFが不十分).
そしてPMFの達成は死ぬほど難しい. 商売づくりと同義だから.
判別が簡単なら測る意味はほとんどない.
にもかかわらず判別方法を工夫しようとするのは「測りすぎ」.
もっと悪い場合、PMFしていない事実が怖くて少しでもPMFしてる傾向をひねり出そうと(無意識に)している.
本質的に難しい課題に取り組んでいるので失敗しているのが当たり前、過剰に測る暇があったらPMF実現にだけ集中すべき.