ある局面の最適解を攻防1回のナッシュ均衡で出すのは難しい。かなり歪む。
例: 端起き攻めの前ジャンプ
端起き攻めの基本形は「打撃重ね・投げ重ね・シミー vs ガンガード・前ジャンプ・リバサ無敵(遅らせグラ)」である1 2 3。
スト6・リュウ同キャラ想定で端起き攻め単体のダメージ表を作ると次のようになる:
| ガンガード | 前ジャンプ | OD昇竜 | |
|---|---|---|---|
| 打撃重ね | 0 | +3000 | -1600 |
| 投げ重ね | +1200 | +14004 | -1600 |
| シミー | 0 | +7005 | +3600 |
この端起き攻めを「二人零和標準型ゲーム」と捉えた場合、ナッシュ均衡は攻め (0%, 56%, 44%) / 受け (81%, 0%, 19%) でゲームの値が +675 になる。
つまり「攻めは打撃を、受けは前ジャンプを捨てる。攻めは投げとシミーを大体半々、受けはガンガード 8 割でたまにぶっぱなす。ダメージ期待値は +675 dmg」が均衡になる。
「ダメージ表が実際の端起き攻めを上手くモデル化できている」という前提なら、これは正しい。
表からわかるように、前ジャンプはガンガードに強支配されている。前ジャンプは打撃を喰らい、投げをスカせたかと思いきやフォローの昇竜で投げ以上のダメージをもらい、シミーには落とされて鳥籠される。ガンガードに全ての点で劣るため、前ジャンプ択はマイナスでしかなく、選択率 0% が正しい。
前ジャンプが無いなら攻めの打撃重ねには価値がない。ガンガードに防がれてOD昇竜に逆択決められるだけである。投げ重ねならガンガードは潰せるため、打撃重ね択はマイナスでしかなく、選択率 0% が正しい。
しかしこれがモデル化の失敗であることは格ゲーマーなら言うまでもない。
前ジャンプの価値はダメージでなく入れ替えである(注釈3参照) 。対空1発のコストでラインをひっくり返せる。Dゲージ等のリソースを相手が吐いていれば一気に形勢逆転になる。
しかしこれは「勝率への影響」を用いないと正しく評価できない。端起き攻め単体をダメージで評価しても正しく見えてこない。
限界
これは単発の局面・攻防のナッシュ均衡でもって択を評価することの原理的限界を示している。
格ゲーはラウンドを取るゲームであり、体力はリソースに過ぎない。
択の評価はKOと判定勝ち負けにどう繋がるかでのみ真に評価できる。
単発の局面・攻防の与ダメや被ダメではどうしても歪む。
- "ガード・前飛び・無敵技が基本" 7:55~より引用。SmashlogTV - SF6. (2026). 【初心者必見】もけ先生による『画面端からの脱出方法』徹底解説【スト6 / ストリートファイター6】.↩
- "スト6っていうゲームは、起き攻めは投げ ... と打撃とシミー、基本的にこの3択 ... 投げとシミーだけだったらジャンプでもかわせるんだけど ... 打撃が入るとジャンプとかバックステップでもかわせなくなります。受け側の選択肢はいくつかあって ... まず遅らせグラップ... あとはガード、ガンガード ... 相手がシミー ... 歩いて投げる … 前ジャンプとか中足ラッシュとか" 以下より引用。ACQUA. (2025). 【スト6、SF6】守り方の極意を解説!セオリー理解で劇的に変わります.↩
- "1番いいやつね、これ、前ジャンプっす。... 勝つというか、端から逃げれる。" 0:57~より引用。なるお. (2024). 【スト6】端攻めが凌げないリスナーの質問に答える 読み合いのルールを理解しよう!【なるお・ストリートファイター6】.↩
- 投げシケ後に振り向き強昇竜対空↩
- ジャンプ確認で空対空して鳥籠↩