たれぱんのびぼーろく

わたしの備忘録、生物学とプログラミングが多いかも

仕様の軽視と見栄

意味を感じないのに納得したフリをして仕様化すると、後々仕様を無視するようになる.
仕様の無視はすなわち、客観的な詐欺である.

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/1001-b.html

公的な規格と整合しないことや顧客との契約で合意した仕様(顧客仕様)に整合しないことを認識しつつも、口を揃えて、「品質に問題はなかった。」と述べている。まさに、本件品質不正の直接の原因は、かかる供述に見られるように、三菱電機の従業員の間に、規定された手続…により品質を証明するという姿勢が 欠如しており、「品質に実質的に問題がなければよい」という安易かつ誤った正当化が行われていた点にある。

形式的な仕様なら、そもそも形式化したりそれを約束したりしなければいいのに、その手間を惜しんだから不正になる.
「我が社の品質を信じてドンとついてきてくだせぇ」って言っていれば問題ないのに、約束した上で嘘つくから詐欺になる.
見栄を張った (認証を軸とする権威主義) 成れの果てとも言える.

形式的仕様という直感はエンジニアなら感じる機会がしばしばある.
二重検査になってたり、検査値の用途が不明だったり、本質じゃない瑣末なとこばかり重点検査してたり.
ダメエンジニアはこれを甘受し、さらには無視し始める.
出来るエンジニアはその仕様自体を直したり破棄交渉したりする.

ソフトウェアテストリファクタリング、というと伝わる人がいるかも.

妥協と見栄のメンタリティが生まれる原因を追ってくと組織論・インセンティブ設計になる.
上司に「今回は納期が厳しいし、まぁ形式的なものだから、いったん仮の数字で埋めようか」と言われたら徹底抗戦は難しい.
経営層に「これまでの失敗から立て直すために、今季の目標は必達で頑張ろう」と言われたらミドルマネジメントが「背に腹は変えられないので、ひとまず形式化な部分は簡略化して」と走ってしまうのもわかる.