たれぱんのびぼーろく

わたしの備忘録、生物学とプログラミングが多いかも

電撃戦の戦略思想: 兵力の無力化

電撃戦の根底にある戦略思想は「敵兵力の無力化」である。対照的な思想は「敵兵力の撃滅」。

軍隊という存在への見方として、火力の塊という見方がある。つまり数と威力を数え上げた総和が軍隊という存在だという見方。 他方、軍隊を組織とする見方もある。個別の火力源は戦力でなく、指揮系統や連携で戦力が大きく左右されるという見方。

軍隊を前者と見做した場合、「いかに効率よく敵火力をすり減らすか」すなわち撃滅効率が全てを左右する。
塹壕で遅延させて敵の効率をさげ、火砲の量を増やして撃滅するみたいな発想になる。

軍隊を後者と見做した場合、連携を崩すという発想が生まれる。個別の火力源が無傷でも、組織としての機能を奪ってしまえば戦力として無力化できるという発想。

この無力化思想が電撃戦の戦略思想。
「戦力集中による前線突破→結節点への電撃進軍→結節破壊による組織戦力の無力化」という戦略が電撃戦
最小限の火力撃滅で最大限の組織戦力破壊。
あとは (時限の) 戦力差をテコに各個撃破して軍事的勝利を目指したり、首都落として政治的に戦争を終わらせたりする。

速さが重視されたのは、結節点防御を固められたり、破壊された組織を早期に立て直されると、無力化が解けてしまうから。
撃滅したら治らないけど、無力化は解除できる。
なので対電撃戦の要は「敵の遅延」と「冗長性のある組織系統」になる。
1つの結節点が壊されても迂回路をたくさん用意しておき、実際に破壊に来たらなるだけ遅らせる。
あとは対応して包囲殲滅戦すればよろし。