たれぱんのびぼーろく

わたしの備忘録、生物学とプログラミングが多いかも

ベロシティを落とせ - 価値中心思想

「そんな施策うったら、開発ベロシティ落ちちゃいますよ!」→「ベロシティは道具だ。必要とあらば地の底まで落とせ」

ベロシティ

特定部門における出力速度・回転率.
アプリの機能更新頻度や、マーケの施策数を抽象化したもの.

価値

顧客価値 & 生産者価値
価値は効用-費用

ベロシティをあげたい

開発速度をあげたい、打ち手の頻度をあげたい、というのは専門家がマネジメントすると自然に行き着く.
良いものを速く、な感じ.
専門家集団 (職能ベースの組織) を作って、部門ごとに専門知見を共有、ベストプラクティスを構築していけば、その職能を最適化し、ベロシティを最大化できる.
自分の最高の出力を最速で出してけるので、相当気持ちいい.

問題点: 目的を忘れる

開発も打ち手も、目的は価値.
出力としての製品やPRでなく、成果としての顧客と自社の価値が目的.
あらゆる専門性を価値へ向けて投射し、全体最適 = 価値最適化 するのが目的.

職能ベースになると上記のベロシティ症候群が発症し、その領域での出力最大化を目指しだす.
そしてサイロ化、全体最適とはほど遠い、歪な価値を生み出し始める.

悲しいことに、善意が地獄をつくってる.
専門に目が行きすぎた状態で最適化に走ってるので、本人的にはプロフェッショナリズム・外から見るとアンバランス.
マネジメントの段階で防止しなきゃいけない.

解決策

スローガン「ベロシティを落とせ、価値をあげろ」
価値に対し、自分の専門性を主軸に、製品レベルで貢献する.
「私はこの領域担当です、それは他の人の分野です」じゃなくて、「盾を持ってるから私は前目で押してきます、奴を倒しましょう」的なメンタリティ.

価値中心主義を宣言し、マネジメントとしてバイアスをかける.
職能ベースから製品ベースのマネジメントに切り替える、厳密なウォーターフォールをやめる、機能担当制からチーム制へetc.

例: 機能担当の廃止

「ログイン機能はLチームの専任、彼らがコードを完全に理解して管理してるプロなのだ」→「ログイン機能も全員で取り組みます」
絶対に大反対が来る.
「全員が全員、ログイン理解するってこと!?」「専門家に任せる分業やめたら、効率めっちゃ落ちますよ」「ならあなたがログイン実装してみてくださいよ」
開発者の直観として、プロ以外が実装するのは苦労するし時間かかるし品質落ちる、ってのがある. だから猛反発を受ける.
まずは価値中心主義を理解してもらう. 低効率は問題でなく、価値最大化が主題だと頭を入れ替えてもらう.
そしたら時間の懸念は解決する.
労力を嫌がる人はもうどうしようとない. 一言で言えば駄々っ子. 採用したのが失敗. encourageするか、クビにするか.
品質は大きな課題. プロが最高なのは間違いない.
そこで「全員で取り組み」の意味合いをよく説明する. 持ち回り制でなく、専門性を軸とした全体志向.
必然的に、既存のプロがログインを軸に関わってくので、ガクッと品質は落ちない. そこは運用のバランス.

これでわかるように、価値中心主義で職能制をやめるのはめっちゃ大変.
そしてこの手間を嫌がって手抜くと、死ぬ.

わかりやすい説明案

vs魔王

味方は勇者とヒーラーのみ、魔王のHP残り10.
勇者の大剣で9入る、あと1ダメで勝てる、ヒーラーが殴れば勝ちだ…!
ヒーラー「私のジョブ・専門は回復です. 回復に特化して貢献しますので、攻撃は勇者様の方でお願いします」 とはならんやろ.
専門職は仕事範囲を決めるものではない. 魔王を倒すのが目的で、それに自分の出来る最高の貢献をするもの.
ヒーラーは回復の専門性が高いから、味方回復が最良の選択肢のときにその能力が最大限発揮されるだけ.
味方が全快のときにヒールを空撃ちするプレイヤーなんていない、全快なら殴るのが当たり前.